清心蓮子飲(せいしんれんしいん)


清心蓮子飲(せいしんれんしいん)の効能

体力中等度以下で、胃腸が虚弱で疲れるとすぐに尿が濁ったり、排尿時の痛みや残尿感がある、排尿力が弱く尿が後に残る人に用います。夢精や性的神経衰弱した人、女性では、米のとぎ汁様の帯下(たいげ:おりもの)のある人にも用います。清心蓮子飲はこのように、慢性化した泌尿器科疾患によく用いる薬です。

小林製薬株式会社のユリナールは、清心蓮子飲(せいしんれんしいん)です。


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適応される症状

配合生薬

配合生薬の効能

麦門冬(ばくもんどう)

麦門冬には鎮咳・抗炎症、抗腫瘍効果が認められています。これらの作用は主成分のステロイドサポニン、オフィオポゴニンによるものです。また、オフィオポゴニンDはIgM抗体の産生を抑制しますので、抗アレルギー作用を有しています。

漢方では、麦門冬は鎮咳去痰薬として処方されます。

茯苓(ぶくりょう)

茯苓には、利尿、強心、鎮痛、鎮静作用があります。漢方処方では利尿剤、利水剤、心悸亢進、胃内停水、浮腫、筋肉の痙攣などに茯苓を配合しています。

秩苓とは漢名で、植物名をマツホドと呼び、松の根に寄生するサルノコシカケ科の菌核です。秩苓は菌核に多糖類のβパヒマンを、それにテルペノイドやエルゴステロールなどの成分を含んでいます。

最近の報告では多糖類のパヒマンから誘導されたパヒマランに、細胞性免疫賦活作用が認められています。サルノコシカケ科に共通の抗腫瘍作用とともに、今後の研究が期待されています。

茯苓は民間薬としては使われず、まれに利尿を目的に煎液を飲む程度です。漢方でも配合薬としては汎用されますが、単独では用いません。

人参(にんじん)

漢方治療において最も繁用される有名生薬の一つで、古くから高貴な万能薬としてよく知られています。漢方では強壮や胃腸衰弱、消化不良、嘔吐、下痢、食欲不振などの改善を目標に幅広く処方されます。

この生薬の特異成分であるダマラン系サポニン(主としてギンセノシドRb、Rg群)は動物実験で、強制運動に対する疲労防止、および疲労回復、抗ストレス作用、ストレス潰瘍防止、免疫活性およびアンチエイジングなどを示し、各種機能の低下を抑制する作用が認められています。

その他、抗炎症、抗悪性腫瘍、肝機能改善作用、血糖降下作用、血中コレステロールおよび中性脂肪の低下作用なども確認されています。また、記憶障害改善(抗痴呆)効果が示唆されています。

車前子(しゃぜんし)車前草(しゃぜんそう)

車前子はオオバコの種子、車前草はオオバコの全草を指します。車前子、車前草には消炎、利尿、整腸作用の他、鎮咳効果もあります。慢性気管支炎の咳に、車前草の煎液がきわめて有効であることは、臨床的に証明されています。

利尿効果は、この植物に特異な成分として含まれる、イリドイド配糖体のアウクビンが有効成分と思われる。その他、車前子に含まれる粘液性配糖体、プランタゴ-ムチラゲAに免疫活性作用、および血糖降下作用があることが証明されています。

民間的に、ゲンノショウコと同じように車前草を毎日お茶のように飲むと胃腸によいといわれている他、眼病に洗眼料として利用されています。ある地方では、種皮に緩下作用があるとして便秘に利用されていますが、これは粘液質によるものと思われます。

黄ごん(おうごん)

漢方の中でも最もよく利用されるものの一つで、主に炎症や胃部のつかえ、下痢、嘔吐などを目的に使用されています。

黄ごんエキスは、炎症に関与する諸酵素に対して阻害作用を示しています。これらの作用は、この生薬中に豊富に含まれるフボノイドによるもので、特に有効成分バイカリンやバイカレイン、およびその配糖体はプロスタグランジンらの生合成やロイコトリエン類などの炎症物質の産生を阻害します。

その他、抗アレルギー(ケミカルメジエーターの遊離抑制)、活性酸素除去、過酸化脂質形成抑制、トランスアミナーゼの上昇抑制による肝障害予防、および胆汁排泄促進による利胆作用などが確認されています。

また、ヒト肝ガン由来培養肝がん細胞の増殖を抑制する他、メラノーマの培養細胞の増殖を抑制することより抗腫瘍効果が期待されています。漢方で多くの処方に配合されていますが、単独で用いられることはありません。

黄耆(おうぎ)

強壮、利尿効果がある他、免疫活性、抗炎症、抗アレルギー、血圧降下作用が認められています。単独で使われることはあまりなく、漢方では補気(益気)薬として配合される重要生薬です。たとえば、疲れ気味で、汗をかく虚弱体質の人によく適用される処方として黄耆建中湯(おうぎけんちゆうとう)があります。

有効成分ホルモノネチンは抗酸化作用を有し、アストラガロサイドや、ソヤサポニンに抗炎症作用が認められています。

また、黄耆の抽出工キスに動物実験で肝障害予防、末梢血管拡張作用、インターフェロン誘起作用などが確認され、黄耆の効能が裏付けられています。

地骨皮(じこっぴ)

漢方では、クコの果実を「枸杞子」(くこし)、根皮を「地骨皮」(じこつぴ)といい、全体に胃腸の働きを活発にし、利尿と強壮の作用があります。漢方では、枸杞子は肝腎を滋補し、虚労、腰膝の疼痛、無力感、めまい、消渇などに使い、地骨皮は糖尿病に効く他、結核性の解熱効果、血圧降下作用があり、強壮薬に用います。

薬効成分は、肝臓の新陳代謝を高め、肝脂肪のつくのを防ぐベタイン(コリンの生体内代謝産物)や、各種のビタミン類が含まれています。

枸杞子は薬用酒として、また強壮薬として中国で古くから愛飲されています。日本でも糖尿病や不眠症に利用されている他、疲労回復や老化防止にもよいといわれています。

甘草(かんぞう)

甘草は漢方治療で緩和、解毒を目的として、いろいろな症状に応用されますが、主として去痰、鎮咳、鎮痛、鎮痙、消炎などです。

有効成分のグリチルリチンには、痰を薄めて排除する作用があり、体内で分解するとグリチルレチン酸となって咳を止めます。

その他、グリチルリチンには多種多様の薬理効果が有り、消炎、抗潰瘍、抗アレルギー作用の他、免疫活性や、肝細胞膜の安定化、肝保護作用、肝障害抑制作用などが明らかにされています。

有効成分イソリクイリチンおよびイソリクイリチゲニンは糖尿病合併症の眼病治療薬として、また胃酸分泌抑制作用もあり胃潰瘍の治療薬として期待されています。

甘草はあまり長期服用しますと、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの副作用が現れることがあるので、注意を要します。


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漢方薬の使用上の注意


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