神秘湯(しんぴとう)


神秘湯(しんぴとう)の効能

体力中等度で、呼吸困難が強く、痰が少なく気うつ、不安症状の強い人に用います。ぜんそく特に小児ぜんそく、肺気腫などに応用します。


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適応される症状

配合生薬

配合生薬の効能

麻黄(まおう)

麻黄は発汗、解熱、鎮咳、鎮痛作用があり、喘息や呼吸困難、悪寒、関節痛に有効で、漢方では、風邪の初期に頻用される葛根湯(かっこんとう)などに配合されます。

主成分のエフェドリンは気管支筋弛緩作用を有する他、アドレナリンに似た交感神経興奮作用を示し、散瞳、発汗、血圧上昇効果などをあらわします。

また、麻黄エキスおよびエフェドリンは体温を上昇させ、発汗を促して熱を放出させることにより解熱効果をあらわす他、抗炎症作用も認められています。

また、多糖体であるエフェドランA-Eを含有し、血糖降下作用を示します。また麻黄の根には、地上部と逆に血圧降下作用を示す他、止汗作用があります。

杏仁(きょうにん)

アンズの種子を杏仁といい、咳止め薬として喘息(ぜんそく)の治療に用いられます。

アミグダリンという青酸配糖体が含まれ、これが生体内で分解されて生じる微量の青酸が呼吸中枢を鎮静化させることにより、咳止め作用を示します。青酸は猛毒物質ですから、服用量には注意する必要があります。

動物実験で、ヒスタミンによる気管平滑筋の収縮を抑制する効果が認められています。また、種子中に含まれる脂肪油は腸の働きを活性化して、便通を良くします。

厚朴(こうぼく)

厚朴には、抗菌作用、鎮痙作用、健胃作用などがあります。漢方として収斂(組織を引き締め作用)、利尿、去痰の目的に胸腹部膨満感、腹痛、咳などに使用されています。

厚朴にはアルカロイドのマグノクラリン、精油のマキロール、ホオノキオール、マグノロールなどが含まれています。

厚朴のマグノロールには大腸菌、黄色ブドウ球菌などの増殖を抑える働きが報告されています。またマグノロールとホオノキオールには中枢性筋弛緩作用が認められています。

陳皮(ちんぴ)

陳皮はミカンの皮を、天日乾燥させた物です。リモネン、テルピネオールといった芳香性のある精油成分を豊富に含んでいるため、胃液分泌促進作用、胃運動亢進作用や抗炎症、抗アレルギー作用があります。漢方では、芳香性健胃薬や駆風(腸管にたまったガスを排出)、食欲増進、吐き気止めなどを目標に処方されます。

また、精油成分には一般に発汗作用があり、初期の風邪などに効果があります。入浴剤として利用すると血行をよくし、肌を滑らかにします。

甘草(かんぞう)

甘草は漢方治療で緩和、解毒を目的として、いろいろな症状に応用されますが、主として去痰、鎮咳、鎮痛、鎮痙、消炎などです。

有効成分のグリチルリチンには、痰を薄めて排除する作用があり、体内で分解するとグリチルレチン酸となって咳を止めます。

その他、グリチルリチンには多種多様の薬理効果が有り、消炎、抗潰瘍、抗アレルギー作用の他、免疫活性や、肝細胞膜の安定化、肝保護作用、肝障害抑制作用などが明らかにされています。

有効成分イソリクイリチンおよびイソリクイリチゲニンは糖尿病合併症の眼病治療薬として、また胃酸分泌抑制作用もあり胃潰瘍の治療薬として期待されています。

甘草はあまり長期服用しますと、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの副作用が現れることがあるので、注意を要します。

柴胡(さいこ)

柴胡は漢方治療で解熱、消炎、鎮静、鎮痛薬として多用される重要生薬の一つです。主成分としてサイコサポニンA~Fなどのサポニンを豊富に含み、動物実験で上記薬効を裏付ける多くのデータが報告されている他、臨床的に肝機能障害の改善作用が認められています。

漢方では主として胸脇苦満、風邪、咽頭の痛み、気管支炎、肺炎などで炎症熱のあるもの抗炎症などを目標に慢性肝炎、慢性腎炎などに処方されます。

一時柴胡を配合した漢方薬が、一部の肝機能障害患者で副作用と思われる症状を示し、問題になつたことがありますので、他の医薬品と併用する場合は医師とよく相談してください。

蘇葉(そよう)

蘇葉は発汗、解熱、鎮咳、鎮静薬として風邪の治療によく利用されますが、この他に精油成分のペリルアルデヒドやメントールには鎮静作用、抗アレルギー作用、免疫活性作用などが認められています。

漢方では、風邪薬や鎮咳去痰薬とみなされる配剤に処方されています。

また精油成分には食欲増進作用や胃酸過多による潰瘍を抑制する作用がある他、抗菌作用があるので魚肉などの中毒予防に使われています。


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漢方薬の使用上の注意


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