附子理中湯(ぶしりちゅうとう)


附子理中湯(ぶしりちゅうとう)の効能

人参湯(にんじんとう)附子(ぶし)を加えたもので、エキス剤では人参湯エキスに加附子を加えて用いればいいです。人参湯の適応症で手足の冷え、痛みの一層強いものに用います。

人参湯の適応症「体力虚弱や体力の低下した人で、顔色が悪く貧血ぎみ、疲れやすく冷え症で、胃腸が弱くみぞおちにつかえ感があり、胃内停水、食欲不振で甘い物や温かい物を好む、下痢、胃痛、嘔吐などがあり、口中に薄い唾液が溜る人に用います。胃下垂、胃腸カタル、胃アトニー、つわり、虚弱児、貧血、病後の衰弱などに応用します。」


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適応される症状

配合生薬

配合生薬の効能

人参(にんじん)

漢方治療において最も繁用される有名生薬の一つで、古くから高貴な万能薬としてよく知られています。漢方では強壮や胃腸衰弱、消化不良、嘔吐、下痢、食欲不振などの改善を目標に幅広く処方されます。

この生薬の特異成分であるダマラン系サポニン(主としてギンセノシドRb、Rg群)は動物実験で、強制運動に対する疲労防止、および疲労回復、抗ストレス作用、ストレス潰瘍防止、免疫活性およびアンチエイジングなどを示し、各種機能の低下を抑制する作用が認められています。

その他、抗炎症、抗悪性腫瘍、肝機能改善作用、血糖降下作用、血中コレステロールおよび中性脂肪の低下作用なども確認されています。また、記憶障害改善(抗痴呆)効果が示唆されています。

甘草(かんぞう)

甘草は漢方治療で緩和、解毒を目的として、いろいろな症状に応用されますが、主として去痰、鎮咳、鎮痛、鎮痙、消炎などです。

有効成分のグリチルリチンには、痰を薄めて排除する作用があり、体内で分解するとグリチルレチン酸となって咳を止めます。

その他、グリチルリチンには多種多様の薬理効果が有り、消炎、抗潰瘍、抗アレルギー作用の他、免疫活性や、肝細胞膜の安定化、肝保護作用、肝障害抑制作用などが明らかにされています。

有効成分イソリクイリチンおよびイソリクイリチゲニンは糖尿病合併症の眼病治療薬として、また胃酸分泌抑制作用もあり胃潰瘍の治療薬として期待されています。

甘草はあまり長期服用しますと、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの副作用が現れることがあるので、注意を要します。

蒼朮(そうじゅつ)

朮は体内の水分代謝を正常に保つ作用があり、健胃利尿剤として利用されています。特に胃弱体質の人の下痢によく効き、胃アトニーや慢性胃腸病で、腹が張るとか、冷えによる腹痛を起こした場合などにもいいです。

日本では調製法の違いによって白朮(びゃくじゅつ)と蒼朮(そうじゅつ)に分けられます。いずれも同じような効能を示しますが、蒼朮は胃に力のある人の胃腸薬として使い分けられています。

両者の主成分は、精油成分のアトラクチロンと、アトラクチロジンです。ちなみに、白朮には止汗作用があるのに対して、蒼朮は発汗作用を示します。朮は漢方治療では、多くの処方に広く利用される生薬の一つです。

乾姜(かんきょう)

乾姜は優れた殺菌作用と健胃効果、血液循環の改善効果、発汗と解熱効果があります。漢方では芳香性健胃、矯味矯臭、食欲増進剤の他、解熱鎮痛薬、風邪薬、鎮吐薬として利用されています。

辛味成分のショウガオールやジンゲロールなどに解熱鎮痛作用、中枢神経系を介する胃運動抑制作用、腸蠕動運動充進作用などが有ります。そう他、炎症や痛みの原因物資プロスタグランジンの生合成阻害作用などが認められています。

附子(ぶし)

中医学では寒を去り、痛みを止める薬として悪寒や、四肢の関節痛を治す目的に使用されます。附子は新陳代謝機能を促進し(特に水分の代謝を促進)、強心、利尿、鎮痛薬となります。

主成分であるアコニチンは猛毒物質で、心拍数亢進、不整脈を起こし心停止になることが知られています。猛毒のため、塩附子、炮附子、加工附子などに加工調製を施して生薬にします。

アコニチン系アルカロイド、メスアコニチンは、中枢性の鎮痛作用や血管拡張作用(平滑筋弛緩作用)、ならびに免疫抑制または増強作用を示します。強心作用物質としてハイゲナミンが確認されています。

アコニチン系アルカロイドには、抗炎症作用や肝臓での、タンパク質生合促進作用も報告されています。また、血糖降下作用を示す成分として、アコニタンA-Cがあります。

附子エキスにはその他、抗ストレス潰瘍、腎機能改善作用などが認められている。有毒植物なので、素人の使用は危険です。


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漢方薬の使用上の注意


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