甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)


甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)の効能

おもに女性や子供向けで、ヒステリーや夜泣き、ひきつけ症状などに用い、特に理由もなく泣き悲しみ、情緒不安定になり、怒ったり笑ったり変化が激しく、しきりにあくびする人に使います。


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甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)の解説

心の興奮を鎮める

甘麦大棗湯を構成する3つの生薬にはいずれも鎮静作用が期待されます。心身の興奮状態を鎮めて、不安定な状態を改善させるのが、この薬の主な働きです。

漢方では、「五臓」の「心」に、意識を保ち、精神を安定させる働きがあるとされています。そして、その働きが衰えると、イライラや不安、不眠などが現れると考えます。

甘麦大棗湯は、そうした「心」の失調状態のときに用いられる処方です。腹直筋の緊張や筋肉のけいれん、生あくびなどがみられる人もいます。

女性や子どもの精神不安

甘麦大棗湯は女性によく用いられる薬で、神経症、不眠症、うつ状態、更年期障害、白律神経失調症などによく処方されます。

興奮、不眠、不安、あるいは悲観的な言動などが処方の目安です。また、子どもの夜泣きやひきつけにも用いられます。甘い味で、子どもにも飲ませやすい薬です。

「甘草」の副作用でむくみや血圧上昇などが起こることがあります。アルドステロン症、ミオパシー(筋肉障害)、低カリウム血症のある人は使用できません。

適応される症状

配合生薬

配合生薬の効能

甘草(かんぞう)

甘草は漢方治療で緩和、解毒を目的として、いろいろな症状に応用されますが、主として去痰、鎮咳、鎮痛、鎮痙、消炎などです。

有効成分のグリチルリチンには、痰を薄めて排除する作用があり、体内で分解するとグリチルレチン酸となって咳を止めます。

その他、グリチルリチンには多種多様の薬理効果が有り、消炎、抗潰瘍、抗アレルギー作用の他、免疫活性や、肝細胞膜の安定化、肝保護作用、肝障害抑制作用などが明らかにされています。

有効成分イソリクイリチンおよびイソリクイリチゲニンは糖尿病合併症の眼病治療薬として、また胃酸分泌抑制作用もあり胃潰瘍の治療薬として期待されています。

甘草はあまり長期服用しますと、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの副作用が現れることがあるので、注意を要します。

大棗(たいそう)

大棗は滋養強壮、健胃消化、鎮痛鎮痙、精神神経用薬として、多くの漢方処方に配合されています。

含有サポニンのジジフスサポニンによる抗ストレス作用があり、アルカロイド成分リシカミンのおよびノルヌシフェリンなどによる睡眠延長作用、多糖体ジジフスアラビナンによる免疫活性などが報告されています。

その他、サイクリックAMP(環状アデノシン一リン酸)があります、サイクリックAMPは脂肪組織を構成する中性脂肪の分解を促します。また、含有成分フルクトピラノサイドには抗アレルギー作用が認められています。


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漢方薬の使用上の注意


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