急性胃炎(きゅうせいいえん)慢性胃炎(まんせいいえん)


急性胃炎(きゅうせいいえん)慢性胃炎(まんせいいえん)の原因

急性胃炎

急性胃炎の原因は、暴飲暴食、強い香辛料やアルコールなど刺激の強い食品、化学薬品、副作用の強い薬などです。溶連菌感染症などによることもあります。

急性胃炎は、胸やけ、もたれ、腹痛、吐き気などの症状が2~3時間ほどで出現します。その原因が胃粘膜を侵す程度が強いほど症状は激しいですが、速やかに原因を除くことができれば回復も早いです。

慢性胃炎

慢性胃炎の原因には、潰瘍や腫瘍によるもの、何度か急性胃炎をくりかえしているうちに炎症が慢性化したもの、加齢で胃液分泌組織が萎縮してしまうものなどがあります。またヘリコバクター・ピロリ菌の感染などによることもあります。

慢性胃炎の症状は急性胃炎とほぼ同じですが、その程度は軽く、ときには自覚症状がないこともあります。

それは、時間をかけて形成された慢性の炎症や、加齢や病気によって粘膜のはたらきが徐々に低下することが原因であるためです。


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急性胃炎(きゅうせいいえん)慢性胃炎(まんせいいえん)に処方される漢方薬

漢方薬は、自分の証に合ったものをお選び下さい。

「証」とは体力、体質、症状などから患者さんの状態を総合的に観察した診断結果のことです。

  • 実証は生理機能が高まった状態を意味して、外見は健康そうに見えます。
  • 虚証は体力がなく、生理機能が衰え、抵抗力も低下した状態を意味します。
  • 中間証は実証または虚証のどちらも偏らず、それぞれの特徴を半分ずつもつ場合を意味します。

「証」の自己判定テストはこのページの一番最後に載せていますので、ご利用ください。

実証

  • 二陳湯(にちんとう)
    急性または漫性の胃炎による吐き気、嘔吐、胃の不快感、頭痛、めまいなどの症状に有効です。

中間証

  • 茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)
    胃炎や不安神経症に使われます。気分がふさぎ、のどや食道にものが、つかえたような感じがあり、胃の膨満感、胸やけ、吐き気などがある場合に効果があります。
  • 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
    急性胃腸炎・慢性胃腸炎、神経性胃炎などに用いられます。胃の周辺のつかえ感、胸やけ、吐き気・嘔吐、下痢、食欲不振などの症状がある場合に有効です。
  • 胃苓湯(いれいとう)
    急性胃炎・慢性胃炎のほか、食あたり、暑気あたりによる下痢、嘔吐、口の渇き、腹痛、尿量減少、むくみなどの症状に有効です。
  • 柴苓湯(さいれいとう)
    胃炎の症状緩和に用いられます。消炎作用と抗アレルギー作用のある小柴胡湯と、むくみをとる五苓散を組み合わせたものです。
  • 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
    腹痛をともなう胃腸炎のほか、風邪やインフルエンザなどに用いられます。胸脇苦満や胸のつかえ、発汗がある場合に有効です。
  • 茯苓飲(ぶくりょういん)
    胃炎、胃下垂などに用いられます。胸やけ、胃のつかえ感、胃の膨満感、げっぷ、吐き気・嘔吐がある場合に有効です。
  • 平胃散(へいいさん)
    急性胃炎・慢性胃炎に用いられます。胃もたれ、消化不良をともなう胃痛、腹痛、下痢などの症状があるときに効果があります。
  • 黄ごん湯(おうごんとう)
    急性胃炎・慢性胃炎、急性腸炎などに用いられます。消化不良などによる寒け、発熱、腹痛、頭痛、胃の周辺のつかえ感、吐き気・嘔吐がみられるときに有効です。
  • 五苓散(ごれいさん)
    急性胃腸炎に用いられます。のどの渇き、尿量減少、吐き気・嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、水をたくさん飲むが、すぐに吐いてしまう(水滞)などの症状がある場合に効果があります

虚証

  • 安中散(あんちゅうさん)
    体力がなくやせ型の人の慢性胃炎、胃下垂、神経性胃炎などに用いられます。胃周辺の痛みや膨満感、胸やけ、冷え、食欲不振、胃内停水(いないていすい)などがある場合に効果があります。
  • 四君子湯(しくんしとう)
    慢性胃炎や胃腸虚弱、胃もたれなどに用いられます。やせて顔色が悪く、食欲不振、吐き気・嘔吐、胃内停水(いないていすい)などの場合に有効です。六君子湯より体力低下が著しいときに有効です。
  • 桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
    慢性胃腸炎に用いられます。冷え症で顔色が悪く、下痢、腹痛、頭痛などの場合に有効です。
  • 六君子湯(りっくんしとう)
    胃炎で消化機能が衰弱し、食欲不振や疲労感、貧血、冷えが強い場合に効果があります。
  • 小建中湯(しょうけんちゅうとう)
    慢性胃腸炎がある人に用いられます。神経過敏、疲れやすく、食欲不振が目立つ場合に効果があります。
  • 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
    胃炎や胃下垂に用いられます。足腰の冷え、頭痛、めまい、肩こり、吐き気・嘔吐、胃内停水(いないていすい)がみられる場合に有効です。
  • 啓脾湯(けいひとう)
    胃炎、消化不良、下痢などに用いられます。やせて顔色が悪く、食欲がなく、吐き気や下痢、腹痛、胃内停水(いないていすい)などがみられる場合に有効です。

漢方薬以外での予防改善

治療は、どちらも、原因の除去と胃粘膜の修復・保護です。急性胃炎はとくに早急な対応が必要です。

油を多く含んだ料理や、コーヒー、香辛料は胃酸の分泌を盛んにしますので控えてください、ストレスも胃に良くありませんのでためないように注意してください。タバコとアルコールは完治するまでやめた方が良いと思われます。

食べ過ぎは良くありませんが、極端な空腹もよくありませので、規則正しく適量の食事を摂りましょう。


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「証」の自己判定テスト

それぞれの質問に点数をつけてください。点数の合計点でおおよその自分の証がわかります。

5=よくあてはまる 4=かなりあてはまる 3=どちらかというとあてはまる 
2=どちらかというとあてはまらない 1=あまりあてはまらない O=あてはまらない

合計101点以上 実証

合計51~100点 中間証

合計50点以下 虚証

 1  がっしりした体格で筋肉が硬い  5  4  3  2  1  0
 2  いつも元気である  5  4  3  2  1  0
 3  肩がいかっている  5  4  3  2  1  0
 4  首が太い  5  4  3  2  1  0
 5  指が太い  5  4  3  2  1  0
 6  顔は赤みが多く、脂ぎっている  5  4  3  2  1  0
 7  目は生き生きして力がある  5  4  3  2  1  0
 8  声は太くて大きい  5  4  3  2  1  0
 9  歩き方がしっかりして力強い  5  4  3  2  1  0
 10  胃腸が丈夫である  5  4  3  2  1  0
 11  便秘がちである  5  4  3  2  1  0
 12  下剤を使っても腹痛はなく、気持ちが良い  5  4  3  2  1  0
 13  冷たい食べ物のが好き  5  4  3  2  1  0
 14  苦い食べ物が平気だ  5  4  3  2  1  0
 15  疲れがすぐに取れる  5  4  3  2  1  0
 16  腹部を押すと弾力性があり、厚みがある  5  4  3  2  1  0
 17  おへそが深くて大きい  5  4  3  2  1  0
 18  動作が機敏である  5  4  3  2  1  0
 19  髪の色つやがいい  5  4  3  2  1  0
 20  脈に充実感があり力強い  5  4  3  2  1  0
 21  あごが張って顔が角ばっている  5  4  3  2  1  0
 22  のぼせやすい  5  4  3  2  1  0
 23  怒りっぽい  5  4  3  2  1  0
 24  食欲が旺盛  5  4  3  2  1  0
 25  のどが渇くとすぐに水分をとる  5  4  3  2  1  0
 26  汗っかきである  5  4  3  2  1  0
 27  風邪など急性疾患にかかったとき、口のなかや舌が乾燥する  5  4  3  2  1  0
 28  爪の色が赤みかかっている  5  4  3  2  1  0
 29  病気にかかりにくい、かかっでもすぐに治る  5  4  3  2  1  0
 30  皮膚は光沢があり、つやがいい  5  4  3  2  1  0

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